○スピネルとは
スピネルは鮮やかな赤色やピンク色、紫色に青色といった美しい宝石です。
特に鮮やかな赤色で美しいレッドスピネルはルビーと同じように扱われてきました。
1783年にフランスの鉱物学者によって識別されるまでルビーとスピネルは同じ鉱物と思われていました。
ルビーとスピネルを識別して違いが判明したところから宝石学がスタートしたと言われています。
○ルビーのような美しさ
代表的な産地の1つとしてミャンマーのモゴック鉱山。
世界最高品質のルビーが採れるところと一緒です。
<化学式も似ています>
・ルビーはコランダムという酸化アルミニウム(Al2O3)の鉱物
クロム(Cr)が入っていると赤色になり ルビー
鉄(Fe)やチタン(Ti)が入っていると青色になり サファイア
となります。
・スピネルの化学式は、酸化アルミニウムにマグネシウムがついたもの(MgAl2O4)
クロム(Cr)が入っていると赤色
鉄(Fe)やコバルト(Co)が入っていると青色
となります。
マグネシウムの有無でスピネルだったりルビーだったりと。
そして美しさも非常に似たものです。
○ルビー=スピネル?
何も一般の方々だけでなく世界中でスピネルとルビーは混同されています。
最も有名なのはロンドン塔に飾られているイギリス王室の王冠を飾る「黒太子のルビー」と名付けられた宝石が実はスピネルだったのです。
「黒太子のルビー」は14世紀のスペインとの戦いでウェールズのエドワード王子(黒太子)が
戦利品として所有しイギリスに持ち帰った赤色の宝石です。
その前まではムーア人とスペインの王が代々所有していたと伝えられています
世界最大のダイヤモンド カナリン(3,106カラット)から分割された
カナリン2(317.40カラット)のダイヤモンドの上の赤色の140カラットの宝石が「黒太子のルビー」ことレッドスピネルです。
(ちなみにカナリン1(530.20カラット)は英国王室の王笏(杖)に使用されています。)
ルビーという名前までついているのに、鉱物としてはルビーではない。
しかも、それが英国王室の王冠に今もつけられている。
なかなか面白いお話ではないでしょうか?